鯖江市は、眼鏡、繊維、漆器などのものづくり分野を中心に内発的に発展し、成長を遂げてきたまちです。
その発展を支えてきたのは、女性の活躍、時代を見据えイノベーションを繰り広げてきた市民性、市民一人ひとりが主役になれる地域風土にあります。
2015年9月に国連総会で採択された世界共通の目標SDGs(持続可能な開発目標)は、まさに本市が市民の皆様と一体となって進めてきたまちづくりの考え方と合致するものであり、SDGsの理念である「誰一人取り残さない」社会の実現を目指して、特に、本市の地域特性を生かした「ジェンダー平等の実現」を軸に、SDGsの推進に取り組んでいます。
SDGsの目標年次2030年に向け「行動の10年」をスタートした2020年、「さばえSDGs推進センター」を開設しました。
気候変動による世界各地での大災害の発生や新型コロナウィルスの世界的流行を受け、SDGsの重要性が再認識される中、国も県もSDGs推進の動きを加速化しています。
SDGsは普遍的な世界共通の目標であり、私たち一人一人の目標であります。「さばえSDGs推進センター」を拠点に、産官学民が連携・協働してSDGsの推進に取り組みます。
2019年12月、国連における女性問題の第一人者であるアンワルル・K・チャウドリー大使を本市に招き、SDGsの普及・啓発と、産学官などの多様なステークホルダーによるSDGs推進モデルの構築・展開を促進するため、「さばえSDGs推進シンポジウム」を開催しました。このシンポジウムの最後に、約400人の参加者全員で、「SDGsさばえ宣言」を行いました。
わたしたちのまち、鯖江市が50年後、100年後も、
住みたい、住み続けたいと思えるまちであるために、
経済・社会・環境の好循環が生まれる、誰一人取り残さない社会を目指して、
国連が定めた17の持続可能な開発目標「SDGsえすでぃーじーず」の理念のもと、
わたしたちは、ジェンダー平等の実現と女性活躍を礎に、
産・学・官・民、さまざまなステークホルダーとの
パートナーシップによる「共創」社会の構築を目指して、未来に向けて歩み始めます。
わたしたちは、持続可能なまちづくりの実現のため、
世界的な視野で考え、地域の視点で捉え、ひとりひとりが自分ごととして行動します。
国は2018年度から、自治体によるSDGsの目標達成に向けた取組の提案を公募し、優れた取組を提案する自治体を「SDGs未来都市」、その中でも、特に先導的な取組を「自治体SDGsモデル事業」として選定し、これらの取組を支援することで地方創生の深化につなげるとしています。
鯖江市は、「女性が輝くめがねのまちさばえ~女性のエンパワーメントが地域をエンパワーメントする~」をテーマに、経済、社会、環境の3側面をつなぐ、女性活躍の推進に関する統合的な取組を提案したところ、令和元年度のSDGs未来都市(31自治体)およびさらにその未来都市の中から10事業が選ばれる、自治体SDGsモデル事業の両方に選定されました。
SDGs未来都市に選定された都市は、国と連携しながら、SDGs推進の取組を具体化した3年間の「SDGs未来都市計画」を策定することとされています。
令和元年に策定したSDGs未来都市計画「持続可能なめがねのまちさばえ~女性が輝くまち~」を改訂し、
令和4年3月に2022年~2024年までの鯖江市 第2期SDGs未来都市計画「持続可能なめがねのまちさばえ~ジェンダー平等こそが輝く未来への鍵~」を策定しました。
女性がすべての分野において重要な役割を果たし、地域社会の一翼を担うことで、雇用の創出、女性の活躍、循環型社会の構築など、経済、社会、環境の3側面に好循環を生み出し、性別、年代に関係なく、すべての分野において能力が生かされた
環境のもと、「育てやすい、暮らしやすいまち」、「みんな輝く、市民活躍のまち」として、「持続可能なめがねのまちさばえ」を目指していきます。
ようこそ、さばえSDGs推進センターへ
このたび、鯖江市のSDGs推進の拠点施設となる「さばえSDGs推進センター」の名誉顧問に就任いたしました、アンワルル K. チャウドリーです。
私と鯖江市との関係は、10年以上になります。
鯖江市にはめがね・漆器・繊維などの地場産業を世界的なレベルに押し上げるだけでなく、新たなる技術への探求心、市民参加での社会・経済活動の数々は世界に誇るべきものであると私は常々申し上げて参りました。
また、市民の居場所と出番づくりという基本的考えのもと、地域企業・教育機関・市民団体と行政が一体となって行動するという鯖江市の取組は、まさに地域がSDGsの実現に取組む姿勢であると実感しております。市民の皆様のご協力がなければ、この地でSDGsを花開かせる種をまくことはできなかったでしょう。市民参加こそがSDGsを達成するに最も必要な養分となるのです。
このゴール(SDGs)は世界中の人々が恩恵を受けるべきでありますが、ローカルレベルでの働きかけがない限り目標の達成はないのです。
そして、忘れてはならないのが、女性の平等とエンパワーメントです。
私は、外交官としてそして国連職員としてあらゆる国と地域に赴きました。
そしてあらゆる側面での平和と平等な社会づくりに、いかに女性の活躍が大事かを私は目の当たりにしてきました。性別・年齢に関係なく平等な社会でなければ良い国、地域、個人は形成されないのです。
世界中が危機に直面している中、コミュニティーやイノベーション、創意工夫、暮らし方や人とのつながりの拠点が必要です。さばえSDGs推進センターがそうした役割を担い、よりレジリエントで包摂的かつ持続可能なまちをつくる機会となることを祈念しております。
さばえSDGs推進センター名誉顧問
アンワルルK. チャウドリー
アンワルルK.チャウドリー大使
元国連事務次長兼上級代表
国連の友Asia-Pacific会長
国連総会平和の文化ハイレベルフォーラム議長兼モデレーター
(後発・内陸・小島嶼開発途上国担当)
バングラデシュ国連常駐代表として国連安全保障理事会議長、ユニセフ執行理事会議長などを歴任。在任中、安全保障理事会議長、国連児童基金(UNICEF)執行理事会議長、経済社会理事会副議長、国連総会第5委員会(行財政問題)議長を歴任。また平和と文化の功労者として、ウ・タント平和賞、ユネスコ・ガンジー金賞の受賞者でもある。また2000年には、国連創立以来、初めて『女性の平和と安全保障』に焦点を当てた決議書の草案を作成し、国連安保理決議1325号を採択させ、国連における女性問題の先駆者の一人として現在も活動を行っている。